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明日の為の経済ビジネス情報


第128回 危機管理(14.明日のエネルギー戦略<9原子力の今後>)

2011年7月18日(月)

9.原子力の今後
東日本大震災によって原子力発電の地位が揺らいでいる。
今回津波によって、電源喪失冷却経路破損などが起こり、原子力安全停止への障害が派生した。
しかし、昼間の晴れた時間しかフルパワーで発電出来なく発電量で見劣る太陽光発電に全面的に依存することは出来ない。
水力発電及び地熱発電は一定の電力供給は可能だが、建設には立地に時間がかかり、自然エネルギーで原子力を代替できない。
そして、輸入に頼りCO2も排出される化石燃料に偏った依存は経済上安善保障上避けるべきだ。
そこで、原子力は安全性の追求は不可能なのだろうか、東日本大震災を機に、今原子力発電メーカーの安全性への取り組みが注目されている。
メーカーなどの取り組みを見てみよう

☆米エネルギー省による原発の世代区分 【fujisannkei bijinessi 2011年7月8日(金)より】 

年代
 
運転開始時期     

主な炉型

内容

第1世代
 1950~60年代前半

黒鉛減速ガス冷却炉

 

第2世代
 60年代後半~

90年代前半

沸騰水型軽水炉(BWR)
加圧水型軽水炉(PWR)

 東芝、日立製作所などが建設主体となった福島第1原発は1~6号機まで米ゼネラル・エレクトリック(GE)設計のBWR(沸騰水型軽水炉)で、1970年代に運転を開始した。いずれも技術的には「第2世代」に位置付けられ、現在稼働している「第3世代」の前代に当たる。

第3世代
 90年代後半~

2010年代

改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)
改良型加圧水型軽水炉(APWR)

 

第3世代プラス
 2010~30年代

AP1000

ESBWR

新型炉 各国で提案
 
 福島第1原発は津波で冷却水をくみ上げる電源を喪失し、炉心溶融に至ったが、設計が旧式だったために重大事故に至ったという見方もある。佐々木社長は「こうした経験を反映した炉を納めるのが今後のメーカーの責務」と強調。現在、傘下の米ウエスチングハウスが開発した加圧水型軽水炉「AP1000」を各国で提案している。
 AP1000は電源の喪失を想定し、発電機やバッテリーなどを稼働させて人為的に炉心を冷やす「積極的安全システム」から、重力や対流といった物理現象で冷やす「受動的安全システム」に設計理念を切り替えた。制御棒や冷却水は炉の上部に配置し、緊急時には重力で自然に落下。電力を使ってポンプで水をくみ上げる必要がなく、「(電源喪失後)72時間は人が触らなくても自己冷却できる」(佐々木社長)仕組みだ。
 日立がGEと開発するESBWR(高経済性・単純化沸騰水型炉)も同様の冷却システムを採用。さらに2001年の米中枢同時テロを踏まえ、原子炉建屋、格納容器などで「航空機が落下しても耐えられる強度」(中西宏明社長)を目指す。
 AP1000、ESBWRは現行炉よりさらに先進的な「第3世代プラス」に当たり、すでに米国などで受注を獲得している。

第4世代
 2030年以降

溶融塩炉(MSR)
ガス冷却高速炉(GFR)
ナトリウム冷却高速炉(SFR)

高温ガス炉 研究中
従来型原発とはまったく別の炉型で、「第4世代」に位置づけられる“新原発”の開発も進んでいる。日本原子力研究開発機構が実験中の高温ガス炉「HTTR」。ウランの核反応による熱エネルギーを発電タービンに伝える媒体に従来の水(水蒸気)ではなく、ヘリウムガスを使う。ガス炉は軽水炉の3倍の950度の熱エネルギーを取り出すことができ、発電効率も既存原発の30%に対し50%程度まで上昇するという。
 「次世代原発の主役を担い得る」(立命館大衣笠総合研究機構の亀井敬史研究員)とされるのが「トリウム溶融塩(ようゆうえん)炉」だ。同炉は放射性物質を含む天然金属トリウムを液状の塩に混ぜて液体燃料を生成、それにプルトニウムを加えて核反応を誘発する。一度核反応を始めると炉外に取り出せない現在の固形燃料棒と違い、液体燃料は核反応に必要な量だけを順次注入する。投入量を調節できるから核反応を制御しやすく、事故のリスクは低減する。ただ、まだ実験炉もなく、研究段階だ。

※現在、国内にある原発のほとんどは第2世代のBWR、PWR。第3世代は柏崎刈羽原発6号機のABWRなど4基

 
☆♪――――――♪
編集後記
この度の東日本大震災により被災された多くの方々、福島台地発電所事故の影響を受けておられる方に、謹んでお見舞い申し上げます。
技術の進歩
技術の世界は理想に近づくのは至難の業だ。10年20年の年月を経ても理想に近づかない。
全てを説明しにくいのが技術の世界である。撤退すれば技術はそこで終わりだ。より安全なものに近づくには長い年月と努力と費用が要る。
達成された技術は当たり前のように使われる。長い年月努力は忘れられやすい。いま、安全の名の下に原子力の技術を終わらせて良いのだろうか、
技術の恩恵を忘れられているのではないか?
車は便利だが国内多数の死者が出ている。原子力発電での一般の方の死者はいない。車には技術の向上する機械が与えられ使われるが、
原子力技術は進化の機会は与えられないのだろうか、不思議に気がする。ここでやめれば技術の進化は無い。
今一度「絶対安全」を言える原子力の技術を開発する心意気は技術者には無いのだろうか、
この震災は不幸でありピンチであるが、技術の伸びるチャンスでもある。

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今日の外来語言い換え辞典 (国立国語研究所外来語言い換え提案引用)
プレゼンテーション<発表> 全体 ★★★☆ 60歳以上 ★★☆☆
意味
 企画や計画などを分かりやすく発表すること
使用例
 当日は,論文審査を経た5組10人の大学生が参加し,前半にプレゼンテーション【発表】後半に討論を行う。
その他の言い換え
<説明・提示・提案>

要望問い合わせ他

作成2011.07.17
更新2011.07.18
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