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明日の為の経済ビジネス情報


第130回 危機管理(16.明日のエネルギー戦略<11電力と経済>)

2011年8月1日(月)

11.電力と経済
脱原発:50年の経済影響なし 東京大准教授試算【毎日新聞2011年7月3日より】
2050年に「脱原発」を実現した場合の国内の経済影響はほとんどないとの試算を、東京大准教授がまとめた。
太陽光パネルをすべて国内で生産し、未利用の土地を活用することなどの条件が前提で、実現には政府の姿勢が鍵になりそうだ。
現在、日本の電源は原発約3割、火力約6割、太陽光を含むその他が約1割。試算では、太陽光パネルの寿命は20年で、発電量は年率1%で劣化するとした。50年までの電力需要を考慮し、(1)原発を段階的に廃止し、その分を太陽光が代替する(2)原発はそのままで、太陽光が普及していく分、火力を減らす(3)原発はそのままで、太陽光は住宅への普及限度の1000万戸まで増え、その分の火力が減る--の3ケースで分析した。
 この理由を、(1)と(2)で太陽光パネル製造や設置費など40年間で162兆8000億円が投入され、製造工場などで雇用が生まれるためと説明している。
☆ ――――――☆
上記試算、前提条件が合えば正しく問題は無いが、現実的には太陽光は昼間のみの発電で、天候に左右されやすい。
電力を格納するには高価なバッテリが必要になるが、その技術的進歩が見えていない。
試算の前提は、大きな技術的改革と多大な投資を行うことが前提になる。
さらに、安価な電力を供給する新興国に工場が移設されれば、日本は電力料金の価格競争で新興国に対し劣勢に立たされ自然エネルギーに投資する効果が小さい可能性が高い。
試算には前提条件があるが、実現性は乏しいと思われる。
(1)原発を段階的に廃止し、その分を太陽光が代替する
   原子力は安定的に発電するベース電力としての機能があるが、太陽光発電は発電品質にバラつきがあり、置き換えは困難である。
太陽光発電施設の価格、設置費用、電力の品質保持費用(バッテリ、系統制御費用)が高価で大きな技術進化が必要となる。
(2)原発はそのままで、太陽光が普及していく分、火力を減らす
  現状、太陽光の天候などによる発電減が起これば火力発電で急速起動による発電を行はなければならず、バックアップとして火力は廃止しにくい。
(3)原発はそのままで、太陽光は住宅への普及限度の1000万戸まで増え、その分の火力が減る
 40年間で162兆8000億円、年間4兆円の投資、日本全国の世帯数約5000万世帯として、1世帯当たり年間8万円の額である。
投資額と電気代を比べるのは無理があるが、現状電気代が年間1世帯当たり平均9万円程度であるとすると、そこまで太陽光に投資するとは現実的に考えにくい。
  現実には、原子力、火力等で発電する安い電力を供給できる新興国への工場移転で国内産業は空洞化の道を進むことになる。今、新興国は全力で産業の誘致、インフラの近代化を進めつつある中で、少子化、国債発行残高膨張、消費税すら増税できない政策停滞、日本はどれをとっても明るい未来には程遠い中で、不確実性の高いものに大きな投資をしている余裕は無い。
さらに、1世帯当たりの年収が、ピーク時の1994年に比べて18%も減少している。
15年前の年収647万円から現在548万円とほぼ100万円ダウンしている。
大きな出費を要する太陽光発電に投資する余裕のある世帯は減っているのも問題である。

自然エネルギーとしては、地熱発電、水力発電、に投資する方が安定電力を供給でき、安定的発電を行えることから原子力火力発電の代替機能を持ち備え現実的である。
現状、安全保障上及び経済上原子力火力発電なくして成り立たない。
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今日の外来語言い換え辞典 (国立国語研究所外来語言い換え提案引用)
プロトタイプ<原型> 全体 ★☆☆☆ 60歳以上 ★☆☆☆
意味
 同類のものの,おおもとになる型
使用例
 新しい自然と都市の関係をプロトタイプ【原型】として示していきたい。
その他の言い換え
<試作モデル・試作品>

要望問い合わせ他

作成2011.08.01
更新2011.08.01
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