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明日の為の経済ビジネス情報


第156回 化石燃料依存は大きなリスク

2012年6月11日(月)
 
いま、夏季だけ原子力発電を稼動し、電力安定供給を確保しようという意見がある、
しかし、化石燃料(原子力燃料以外)だけに頼ると、化石燃料輸入は毎年約4兆円(当方推定)の輸入増加となり日本経済に対する大きな負担になる。
この費用の負担は結局、電力利用者の負担になってくる。この負担量は、消費税税収で表せば2%弱の負担と同等である。
資源の無い日本、この化石燃料依存の「リスクインパクト」の大きさを見逃してはならない。
消費税はやがてわれわれに還元されるものもあるが、化石燃料の輸出費用は殆ど産油国の利益となって我々に還元されるものは皆無である。
自然エネルギーや新ネルギーについては、原子力に代わる発電容量になる実用化の目処が付く等長期的な展開がいるので、
今回は、短期中期的な視野で電力供給確保を記述させていただく意味から、自然エネルギーや新ネルギーについては割愛させていただく。
その他、以下に挙げる化石燃料だけに頼る大きなリスクがある。
1.少ない備蓄量で燃料が底をつく大きなリスクを背負う化石燃料
  燃料輸送が止まれば枯渇する化石燃料の備蓄日数

 

備蓄量(日)

発電単価(円/kWh

石油

80

20

LNG

20

10

石炭

40

8

資料

エネルギー白書2010年参照

当方 推定

LNGは低温保存をしなければならないので備蓄日数には限界がある。

2.何時でも買える訳ではない化石燃料
 化石燃料は長期契約で安定的に供給が原則で安価、スポットで購入すると割高になる。
3.戦略的に使われる化石燃料
 ロシアは欧州にパイプラインを通して原油を輸出しているが、輸出関税をかけ、化石燃料輸出を戦略的に利用している。
極東で産出される化石燃料も価格的に戦略的に利用されると割高な支出となる可能性も高い。
4.紛争により奪われる権利
人類は資源獲得戦争を繰り返してきたことを忘れてはならない。
リビアの政変、中東紛争を見てみると、核戦略及び宗教的色彩が強いように見えるが、裏には資源獲得紛争でもある。
少なくとも、紛争により結果的に資源の利権が奪われる可能性が常にある。常にリスクがあることを認識するべきである
さらに、フォルムズ海峡封鎖など実施されると、LNG供給が止まり、備蓄が無くなると直ちに電力供給がストップする。
こう言ったリスクを考えると原子力を含めた、電力のベストミックスを構築しておかなければ、資源備蓄無しへの猶予は20日が最大である可能性が高い。
☆♪――――――♪
編集後記
 今、日本の経済は下り坂と言って良いだろう。それは、人口構成が一番の原因だ。
少子高齢化で労働人口が減少すれば当然GDPも低下してくることになる。
しかし、それだけではない、国民多くの危機意識の欠如だ。課題は多い
(1)国債発行残高約1000兆円借金超過の国家予算の中での消費税反対、他に改善方法をあれば示していただきたい。
(2)電力不足、化石燃料輸入で貿易赤字突入且つ、安全対策で地震津波の影響はかなり少なくなっている中での
原子力発電稼動反対、原子力を止めるリスクの方がかなり高くなっている。
(3)その他、医療保険制度、TPP参加、農業改革・・・
等、挙げれば切が無い。改革反対も選挙票だけを考えるのではなく、代替案を提示しながらの建設的な改革を行ってほしいものだ。
新興国はそれらの問題は無く、ゼロからのスタートの場合が多い。
先進国に求められるのは過去の栄光を捨て、ゼロからのスタートのつもりでの活力だ。
☆♪――――――♪
今日の外来語言い換え辞典 (国立国語研究所外来語言い換え提案引用)
ライブラリー<図書館> 全体 ★★★☆ 60歳以上 ★★☆☆
意味
図書などの資料を収集し閲覧に供する施設
使用例
 住宅の専門書、雑誌を集めたライブラリー【図書館】も設置されている。

その他の言い換え
<資料館・蔵館・閲覧所・書庫・叢書>




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作成2012.06.11
更新2012.06.11
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